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8月は腹痛・下痢に注意!「夏の食中毒」と「冷え腹」から家族を守るおなかケア

はじめに

8月に入り、連日厳しい暑さが続いています。お盆休みや夏休みに合わせて、ご家族でバーベキューや旅行、外食などを計画されている方も多いのではないでしょうか。

そんな楽しいイベントが増える8月ですが、実は内科の現場で一気に増えるのが「お腹が痛い」「下痢や吐き気が止まらない」というお腹のトラブルです。

夏の腹痛には、大きく分けて「細菌などによる食中毒」と、「冷たいものの摂りすぎによる胃腸の冷え(冷え腹)」の2つの原因があります。どちらも対応を間違えると症状が長引いたり、ご家庭内で広まってしまったりすることがあります。

今回は、8月に特に注意したいお腹のトラブルの原因と予防法、そしてご家族が倒れてしまったときの正しいホームケアについて、内科医の視点から分かりやすく解説します。

  1. なぜ8月に「お腹のトラブル」が急増するのか?

夏場にお腹の調子を崩しやすいのには、8月ならではの環境的なリスクが大きく関係しています。

気温上昇で細菌が大繁殖!「夏の食中毒」のリスク

食中毒を引き起こす細菌(カンピロバクター、黄色ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌など)の多くは、30℃40℃前後の高温多湿な環境で最も活発に増殖します。 夏の室内や車内、屋外のバーベキュー場などは、細菌にとってまさに「絶好の繁殖場」です。調理後の料理を少し常温で放置してしまったり、加熱不足の肉類を口にしたりすることで、食中毒が発生しやすくなります。

胃腸の冷えによる「機能低下・冷え腹」

「冷たいジュースやビールが美味しい」「毎日アイスやかき氷を食べている」という方も多いはずです。 しかし、冷たいものを大量に摂取すると、胃腸の血管がギュッと収縮して血流が悪くなります。すると消化酵素の働きが低下し、水分をうまく吸収できなくなった腸が過剰に収縮して、急激な腹痛や水のような下痢(水様便)を引き起こしてしまいます。

  1. これって食中毒?ただの下痢?見分け方のポイント

お腹が痛くなったとき、一番気になるのは「受診が必要な食中毒なのか、様子を見て良い下痢なのか」という点ですよね。判断の目安として、以下の特徴を参考にしてください。

食中毒が疑われるサイン(すぐに警戒が必要)

  • 激しい腹痛や、何度も繰り返す吐き気・嘔吐がある
  • 38℃以上の発熱を伴っている
  • 便に血が混じっている(血便)
  • ご家族や、一緒に同じものを食べた人にも同じ症状が出ている

食中毒の場合、原因となる菌や毒素を排除しようと体が強く反応するため、症状が重く現れやすいのが特徴です。

冷え・消化不良による下痢のサイン(ホームケアで様子見可能)

  • 発熱や吐き気はなく、お腹の「キュルキュル」という痛みと下痢が中心
  • 冷たいものを飲んだり、エアコンで体が冷えたりした直後に発症した
  • 数回下痢をすると、痛みが徐々に落ち着いてくる
  1. 家族を食中毒から守る!家庭でできる予防の「3原則」

家庭内での食中毒を防ぐためには、厚生労働省も推奨している「食中毒予防の3原則」を徹底することが最も効果的です。ご家族みんなでチェックしてみましょう。

菌を「つけない」(手洗いの徹底と調理器具の消毒)

肉や魚、卵などの生鮮食品には、少なからず細菌が付着しています。 調理の前はもちろん、生肉や生魚を触った後は必ず石けんで手を洗いましょう。また、生の肉・魚を切った包丁やまな板はすぐに洗い、できれば熱湯や塩素系漂白剤で消毒するのが理想的です。野菜など生で食べる食材と、肉類を切り分けるまな板を別にするのも重要です。

菌を「増やさない」(常温放置は厳禁!)

細菌の多くは、10℃以下で増殖が遅くなり、-15℃以下で停止します。 スーパーで買い物をした後は寄り道をせず、すぐに冷蔵庫・冷凍庫へ入れましょう。特に注意したいのが、作り置きのカレーや煮物です。「火を通したから大丈夫」と鍋のまま常温で放置すると、加熱しても死滅しないウェルシュ菌などが繁殖する危険があります。残った料理は小分けにして速やかに冷蔵庫で保管してください。

菌を「やっつける」(中心部までしっかり加熱)

ほとんどの病原菌は加熱することによって死滅します。 特にお盆のバーベキューなどで肉を焼く際は、表面だけでなく中心部の温度が75℃1分以上加熱されるまでしっかり火を通しましょう。ハンバーグや鶏肉などは、竹串を刺して透明な肉汁が出てくるのを確認してください。また、生肉を扱うトングや箸と、食べるための箸をしっかり分けることも忘れてはいけません。

  1. 冷たいものでお腹を下したときの「正しいホームケア」

もしもご家族が「お腹が痛い」「下痢をしてしまった」となった場合、自宅でできる適切な対処法をご紹介します。

市販の下痢止めを「すぐ飲む」のはちょっと待って!

お腹が痛くなるとすぐに下痢止めを飲みたくなりますが、自己判断での服用には注意が必要です。 もし原因が「食中毒(細菌感染)」だった場合、下痢止めで便を止めてしまうと、体外へ出すべき病原菌や毒素が腸内に留まり、かえって症状が悪化・長期化してしまうことがあります。自己判断で市販薬を使わず、まずは水分補給をして様子を見るか、医療機関にご相談ください。

常温〜温かい「経口補水液や白湯」で脱水予防

下痢や嘔吐が続くと、体内から急速に水分と電解質(塩分など)が失われ、脱水症状を起こしやすくなります。 冷たい水やジュースは腸を刺激してしまうため、常温から少し温かめの経口補水液、白湯、薄めたスポーツドリンクなどを、ちびちびと少しずつ飲むようにしてください。

お腹周りを温めて胃腸の血流を回復

冷えが原因の腹痛には、お腹を外側から温めるのが効果的です。 腹巻きを着用したり、蒸しタオルや温熱シートをお腹に当てたりして、胃腸の血流を促してあげましょう。お腹が落ち着くまでは食事を無理に摂らず、回復してきたらおかゆや柔らかく煮込んだうどんなど、温かく消化の良いものから再開してください。

  1. こんな症状は迷わず内科へ!受診の目安

自宅でケアをしていても症状が改善しない場合や、以下のような症状が見られる場合は、無理をせず速やかに医療機関を受診してください。

  • 水分を摂っても吐いてしまい、全く補給ができない
  • 便に血や粘液が混じっている(血便・粘血便)
  • 高熱(38℃以上)が出ていて、強い寒気や体の痛みを伴う
  • 激しい腹痛が数時間以上続いている
  • 高齢の方やお子さんで、口の中が乾いてぐったりしている(脱水傾向)

 

当院では、必要に応じて便の検査や血液検査を行い、原因に応じた適切な処方(整腸剤、解熱鎮痛剤、抗菌薬など)を行います。また、激しい下痢や嘔吐で水分が摂れない場合は、点滴治療によって速やかに水分と電解質を補給し、体の回復をサポートします。

8月は楽しいイベントが多い反面、食中毒や胃腸の冷えなど、お腹にとって危険が多い季節でもあります。

しかし、「手洗いや加熱の徹底」「冷たいものの摂りすぎに気をつける」といった日頃の少しの意識と工夫で、お腹のトラブルの多くは未然に防ぐことができます。

一番近くにいるご家族でお互いの体調に目を配り、もし体調を崩してしまったときは焦らず正しく対処しましょう。お腹の張りや痛みが治まらないときや、受診すべきか迷ったときは、いつでもお気軽に当院(福岡市東区の荒巻医院)までご相談ください。

📝 参考文献