福岡で流行中の「謎の風邪」とは?のどの激痛・長引く咳の原因と受診の目安
2026.06.02
1.SNSで話題の「福岡の謎の風邪」とは?主な症状の特徴
2026年のゴールデンウィーク明け頃から、SNSを中心に「福岡で謎の風邪が流行っている」という書き込みが急増しているようです。
当院(福岡市東区 荒巻医院)にも、同様の症状を訴えてご来院される患者さんが増えています。
ネットや地域で不安視されている「謎の風邪」には、以下のような具体的な症状の特徴があります。
のどの猛烈な違和感・突き刺さるような激痛
発熱はほとんどない(あっても微熱程度)
粘り気のある痰(たん)が絡み、激しい咳が数週間続く
一般的な風邪であれば数日から1週間程度で軽快に向かいますが、
今回の流行では「大人を中心に、2〜3週間以上経っても咳やのどの痛みがすっきり抜けない」と長期化するケースが目立っています。
2.なぜコロナやインフルが陰性なのに「謎の感染症」と言われるのか?
多くの患者さんが「周囲で流行しているのに、病院の検査では原因がわからない」と不安を口にされます。
これには、一般的な内科クリニックで行う「迅速検査キットの対象」が関係しています。
現在、多くの内科医療機関でよく実施されているウイルス検査は、主に「新型コロナウイルス」と「インフルエンザ」の2種類です。
これらがどちらも「陰性」と判定された場合、医療現場の診断としては「一般的な風邪(急性上気道炎)」と判断することが多いです。
しかし、「明らかにいつもの風邪より長引くし、周りでも流行しているようだ」という強い実感があるため、
患者さんの間で「普通の風邪ではない=謎の風邪」という印象が強くなっているようです。
【専門機関の動向】
福岡県医師会からも5月20日の会見において、「何らかのウイルス感染症の可能性が高い」との見解が示されており、
現在は検体の詳しい分析が進められています。
未知の恐怖の新型ウイルスが突如現れたわけではありませんので、まずはご安心ください。
3.医師が指摘する、長引くのどの痛みと咳の「3つの原因」
実際の医療の現場では、今回の流行は特定の新しいウイルスが原因というよりも、
「この時期に流行りやすい定番のウイルス」と「福岡ならではの地域・環境ストレス」が重なった結果であると考えています。
・ 春から初夏に流行する「ヒトメタニューモウイルス(hMPV)」
真犯人の筆頭候補として挙げられているのが、例年3月〜6月にかけて流行期を迎えるヒトメタニューモウイルス(hMPV)などの季節性ウイルスです。
主に乳幼児の間で広がることで知られるウイルスですが、大人が感染すると「熱は出ないのに激しい咳が続く」「のどが猛烈に痛む」という、
今回流行っている謎の風邪とも一致する症状を引き起こします。
・ 福岡特有の環境ストレス(黄砂・PM2.5・イネ科花粉)
また福岡は地理的な環境から、春先に黄砂やPM2.5の飛来ダメージを非常に受けやすい地域です。
さらに5月からは、カモガヤをはじめとするイネ科花粉の飛散も本格化しています。
これらの微粒子によって、あらかじめのどや鼻の粘膜がチクチクと傷つけられ、局所の防御機能が低下しているところにウイルスが入り込むため、
通常よりもダメージが深く、症状が長引きやすくなります。
・ 炎症のあとに残る「咳喘息(せきぜんそく)」
ウイルスや環境ストレスによってのどの粘膜の炎症が一定期間続くと、気道(空気の通り道)が過敏になって「咳喘息」という状態に移行することがあります。
こうなると、すでに体の中からウイルスの本体はいなくなっているにもかかわらず、夜間や明け方の冷え込み、エアコンの冷気などをきっかけに
激しい咳だけが1ヶ月以上残ってしまう原因になります。
4.何科に行くべき?医療機関を受診する目安
多くの場合はご自身の免疫で徐々に治っていく「日にち薬」となりますが、「ただの流行りの風邪」と自己判断して放置するのは禁物です。
症状が強く持続する場合、全く異なる感染症や呼吸器疾患などの鑑別が必要となります。
また上記のように咳喘息状態まで移行すると、症状が落ち着くまでに時間がかかってしまうため、悪くなる前に治療介入をすることが大切です。
以下のような症状に心当たりがある場合は、お早めに当院やお近くの内科・呼吸器内科をご受診ください。
激しい咳のせいで、夜中に目が覚めて眠れない
咳やのどの違和感が1週間以上経っても一向に引く気配がない
息を吸うときにヒューヒュー、ゼーゼーと音がする、または息苦しさがある
一度下がったはずの熱が、数日して再び上がってきた
当院では、症状に応じてのどの腫れを鎮めるお薬や、過敏になった気道を落ち着かせる吸入薬などを適切に選択し、長引く辛い症状を和らげるように加療を行います。
もちろん他の疾患が疑われる場合は精査をし、適切な加療を行います。
お出かけの際のマスク着用や、こまめな水分補給でのどを潤しておくことも大切な予防・ケアになります。
気になる症状がございましたら、どうぞ無理をなさらずお気軽にご相談ください。

