禁煙外来
禁煙外来について

タバコをやめられないのは、自分の意志が弱いから?
「何度も禁煙に挑戦したけど続かなかった」「自分は意志が弱いから禁煙できない」という方は少なくありません。
しかし、喫煙をやめられないのは性格や意志の問題ではなく、ニコチン依存症という医学的な病気によるものです。ニコチンは脳の「快感を得る回路」に直接作用するため、繰り返し吸いたくなってしまいます。
そのため、意志の力だけで禁煙するのはとても難しいのです。禁煙外来では、医学的なサポートを受けながら禁煙に取り組むことで、成功率を大きく高めることができます。
禁煙成功者の多くは、何回もチャレンジして禁煙を達成しています。
「本気で禁煙したい」「過去に挑戦して失敗したけれど、もう一度チャレンジしたい」
そんな方は、ぜひ当院にご相談ください。
喫煙のリスク

現在、全世界で5000万人、日本において11万人以上が喫煙関連の病気で死亡しています。
●がんになりやすい
タバコでがんになりやすいと、一度は耳にしたことがあると思います。実際に、男性では4.5倍、女性では2.3倍、肺がんで死亡するリスクが高くなります。また、男性は喉頭がんのリスクが32.5倍にもなるとされています。その他にも、食道がん、膀胱がんなど複数のがんが喫煙との関連を指摘されています。
●肺の病気になりやすい
喫煙は肺に直接的な障害を与え、長期間吸い続けることで慢性閉塞性肺疾患(COPD)を発症し、咳や痰、息切れが続くようになります。
また、肺の機能が徐々に低下し、階段の昇り降りや軽い運動でも息切れするようになります。重症化すると血中酸素が低下し常に酸素ボンベを持ち歩く必要が出てくることもあります。そのほか、喘息や肺炎が重症化しやすくなったり、全身麻酔時のリスクが高くなったりします。
●動脈硬化が進みやすい
タバコに含まれる有害物質は血管の内側を障害し、動脈硬化を進行させます。動脈硬化が進むと、心筋梗塞や狭心症、脳梗塞などの重大な病気を引き起こすリスクが大幅に高くなります。
実際に喫煙者は非喫煙者に比べて、心筋梗塞のリスクが約2~3倍、脳卒中のリスクが約1.7倍になると報告されています。若い世代でも発症する可能性があり、命に関わる深刻な病気の原因となります
禁煙はつらくて苦しい?

「禁煙はイライラして周囲に当たってしまう」「禁煙する方がストレスで体に悪いのでは」といった不安をよく聞きます。
禁煙時に出てくる不快な症状(離脱症状)は、脳がニコチンを欲しがることで起こる自然な反応です。当院ではニコチネルパッチ(貼り薬)を使用し、血中のニコチン濃度を安定させることで、離脱症状をやわらげることができます。
これにより、イライラや集中力低下などのつらさを軽減し、比較的楽に禁煙を続けることが可能になります。医師、スタッフも一丸となって禁煙を成功するようにサポートします。
今さら禁煙しても遅くない?
「長年吸ってきたし、歳もとったから今さらやめても意味がないのでは?」と感じる方もいるかと思います。
しかし、禁煙の効果はいつから始めても有効とされています。数日で味覚や嗅覚が改善し3ヶ月程度で循環機能の改善が見られます。
1年以内に咳や痰が少なくなり感染をおこしにくくなります。2〜4年で虚血性心疾患(狭心症や心筋梗塞など)や脳梗塞のリスクが顕著に低下し、10〜15年で非喫煙者に近い健康状態になると言われています。
その他、イライラや臭い、経済的負担など禁煙を始めて得られるメリットはとても大きいです。
電子タバコはどうなの?
「紙巻きタバコより害が少ないのでは?」と思われがちな電子タバコですが、必ずしも安全ではありません。
●ニコチン依存は残る
多くの電子タバコにはニコチンが含まれており、依存を強める作用があります。
紙巻きタバコをやめられず、むしろ併用してしまう方も少なくありません。
●有害物質が含まれている
紙巻きタバコに比べれば有害物質は少ないかもしれませんが、完全に安全ではなく、肺や心臓に悪影響を与える化学物質が含まれています。
●長期的な安全性は不明
電子タバコが普及してからまだ日が浅いため、10年、20年と使い続けた場合の健康被害については分かっていません。
●禁煙補助薬の代わりにはならない
電子タバコは医学的に認められた禁煙治療法ではありません。
禁煙外来では、効果が科学的に証明されたニコチンパッチなどの補助薬を使用します。
保険適応の条件
以下の条件をすべて満たす方は、健康保険を使って禁煙治療を受けることができます。
・直ちに禁煙したいと考えていること
・ニコチン依存症を判定するテスト(TDS)が5点以上であること
・1日の喫煙本数 × 喫煙年数(ブリンクマン指数)が200以上であること
・禁煙治療について説明を受け、文書で同意した方
・過去1年以内に、保険診療による禁煙治療を受けていないこと
※条件に当てはまらない場合でも、自費での禁煙治療が可能です。当院ではニコチネルパッチを用いた治療を、自費でも受けていただけます。

治療費用
●保険診療の場合
12週間5回の診察、検査費用、薬代(現在はニコチネルTTSパッチのみ)を含めて総額
・3割負担:約13,000円
・2割負担:約8,700円
・1割負担:約4,300円
となっております。